日視連の弱視部会意見交換会の資料から
第7回オンライン意見交換会「安全に歩くために必要なこと」
(1)ハード面の改善
①屋内の構造
建物内の壁と床が同じ色だと見づらいので、壁と床の間に、例えば違う色の巾木を設置する、角を別の色にするなどの工夫をしてほしい。
廊下等を真っ直ぐ進めるようにするため、床に白線のような目印を敷設してほしい。また、天井の蛍光灯を活用し、直進方向を誘導するようにもしてほしい。
②バリアフリーチェック
ここ最近、公共施設を新たに作る時は、地域の障害者を呼んでバリアフリーチェックを行うことがある。その際は、資料に掲載した写真データではなく、なるべく現地で使用状態に近い環境で確認させてほしい。例えば、最近の写真は暗い場所もきれいに撮影できるので、写真上の見た目は明るく映っていても、実際は暗いことがある。
(2)ソフト面の改善
①啓発活動、人権教育
世間では点字ブロックの意味や必要性をしっかりと理解している人は少ない。また、危ない自転車の運転とか、建物の廊下の端に荷物を置くことなどは、人々の意識を変えれば改善できることかもしれない。こういった視覚障害者にとっての困り事を、社会にどう伝えていくかは悩ましい課題だが、視覚障害者から積極的に啓発活動を行う必要があるのではないか。
自転車を利用する人に、道路交通法の教育を徹底してほしい。また、朝晩の通勤時間帯は、多くの人が行き交うので、白杖を持っていてもぶつかることがあり、こういったことをなくすための教育が必要だと思う。特に、中学生や高校生等の子供や若い人への教育を浸透させてほしい。福祉教育と組み合わせて実施するのがよいのではないか。
(3)アプリや機器等の活用
①アプリ
交差点等の横断歩道の横断は、その時の信号の色が分からないので困る事が多い。そのため、信号の色等を教えてくれるアプリで、誰にとっても使いやすいものを開発してほしい。信号の色等を教えてくれるアプリで簡単に使えるものがあれば、今すぐにでも使ってみたい。
②危険を察知する機器
高校生が考えたスマート盲導杖「みちしる兵衛」というものがある。AIを搭載した白杖で、歩行中に線路や横断歩道、車といった危険を検出・通知し、視覚障害者の歩行を支援するものになる。こういった新技術を活用した白杖を利用するのも安全対策になるのではないか。
次世代移動支援技術開発コンソーシアムが、視覚障害者が自立して街を移動し、日常の活動をスムーズに行うためのナビゲーションロボット「AIスーツケース」の開発を進めている。こういったものを視覚障害者の歩行に活用するのはどうか。
③その他
様々な歩行者支援の技術が開発されているが、これらはナビの精度、機器のサイズ、機器の見た目が重要だと思う。実際に利用する視覚障害者の意見を踏まえながら、開発を進めてほしい。
(4)歩行訓練
弱視者(ロービジョン)への歩行訓練では、保有視力を活用した歩行、新しい道を覚えるためのランドマークの見つけ方、夜間の歩行等を訓練してもらえると嬉しい。目と白杖の感覚の両方を活用するのは結構難しく、状況によって使い分けも必要かと思っている。