第62回東北視覚障害者福祉大会(福島大会)の報告
理事長 宇和野康弘
11月9日(日)・10日(月)の二日間にわたり標記の大会が福島市のホテル福島グリーンパレスで開催され、宮城県からの10名を含めて延べ150名が参加しました。
一日目は会長会議・女性協議会・青年協議会が並行して開かれた後、代議員総会・研修会・情報交換会があり、二日目は日視連竹下会長の講演と式典が行われました。
会長会議の内容は、主に福島大会の運営に関する打ち合わせでした。
女性協議会では(1)来年3月の全国委員会で協議する全国大会のレポートのテーマとして東北から「あの時は、ありがとう」を提案することに決まりました。(2)来年の全国大会への、提出議題は「スーパーなどに、有人レジを残すかセルフレジには必ずサポートする人員を配置することを強く要望する」にきまりました。
青年協議会では(1)令和6年度の事業及び、収支報告と令和7年度計画案が承認、(2)東北地区の青年部の繰越金について、話し合いが行われ、青年部の活性化のための課題についても、議論が行われました。全国的に共通の課題として、青年部の年代の世代の会員数の確保が課題となっています。体験型・参加型の行事を企画して、青年層の掘り起こしをしていくことを進めていくこととして、会議を終了しました。
代議員総会では(1)会則改正案の承認、(2)各団体提出議題の協議が行われ、無人駅対策・同行援護の充実・デジタル化に伴うバリアへの対策など合わせて15の要望事項が議題として提出され、何れも承認され、これらは二日目の式典で9項目の大会決議にまとめられて提案されることになりました。
研修会はラジオ福島のアナウンサー深野健司氏による講演「ラジオ放送100年を迎えて、ラジオ福島と東日本大震災」でした。深野氏はアナウンサー歴30年のベテランで、福島競馬の実況を担当されている方で、歯切れよくテンポのある語り口は聴衆を引き付ける力がありました。3・11の日は、生放送中で、その時の地震発生前後3分ほどの録音を聴かせてもらいました。2人のゲストと話題にしていたお菓子を食べようとするところで揺れが始まりました。ゴーッという音が鳴り続ける中、マイクを離さず「津波が来るかもしれないので、避難してください」と呼びかけ続けていました。後日、あの放送を聴いていて生き延びられたと感謝を伝えられ、声と音だけで伝えられるラジオの仕事に誇りと使命感を新たにされたと話されました。
二日目の竹下日視連会長の講演では、視覚障害者をめぐる最近の動向について報告がありました。マイナ保険証の読み取り機に操作キーが付くようになること、日視連本部の1階で就労移行支援所を開設すること、災害対策の法律に災害時要支援者に対する福祉的サービスが盛り込まれたことなどが報告されました。
式典では、福島県渡邊寛子会長の挨拶に続き、県知事と福島市長代理の祝辞があった後、東視連会長表彰として長年福島県視障協会長として会の発展に尽力された阿曽幸夫前会長が受賞されました。最後に、大会宣言・大会決議の採択、次年度本部団体仙台市視障協髙橋秀信会長挨拶と進み閉会となりました。
採択された大会決議は以下のとおり。
一、視覚障害者が無人駅を利用する際に人的支援を確実に受けられるとともに安全対策としてのハード面の拡充を進めることを要望する
一、同行援護や移動支援業務として人の移動サービスに関わる自動車利用への規制を緩和するとともに待機時間を含む報酬算定基準の見直しを要望する
一、視覚障害者に対する意思疎通支援の代筆・代読を充実させるために地域生活支援事業の必須事業とするよう要望する
一、補装具の支給、日常生活用具の給付における国の基準を製品の開発状況や物価などを的確に反映したものに見直すよう要望する
一、デジタル化・無人化が進む中でICTの機器・アプリの開発にあたっては、視覚に障害がある人の利用を踏まえて開発することを要望する
一、ロービジョンの人への合理的配慮として、選挙の投票用紙の枠内に記入しやすくする記名用補助具(サインガイド)を投票所に備えるよう要望する
一、マイナンバーカードの保険証の本人確認は、目視で可能であることを医療機関へ周知の徹底を要望する
一、歩車分離式交差点への音響設備の設置を要望する
一、盲導犬を同伴した場合に視覚障害者の乗車拒否、及び入店拒否の ないよう、民間事業者に対し国が指導徹底することを要望する
