東北視覚障害者福祉大会の報告
理事長 宇和野 康弘
第61回東北視覚障害者福祉大会が宮城県視覚障害者福祉協会の主催で11月10日(日)と11日(月)の二日間にわたり仙台市の江陽グランドホテルに会員・関係者ら約140名が参加して催されました。参加者のうち、県外参加者が43名、残りは仙台市を含めた県内の会員と関係者でした。
今大会のスローガンは、進めよう!合理的配慮の提供、保て!外出支援の仕組みと制度、築け!誰も取り残さないデジタル社会、高めよう!制定から200年、点字の価値です。
1日目は、会長会議・女性協議会・青年協議会・代議員総会を開催し、各団体から提出されました議題を中心に協議が行われました。その後の研修会では、東北放送ラジオの番組「みちのくむかしばなし」を26年にわたり担当された田村文子さんによる読み語りを楽しみました。東北6県のむかしばなしを取り上げて、その地の方言のまま語る味わい深い読み語りに耳を傾けたひと時でした。
夜の情報交換会には81名と大勢に参加いただき、料理と飲み物、楽しい語らい、カラオケなどで心もお腹も満たされた一夜だったかと思います。
2日目は第1部日視連竹下義樹会長による「視覚障害者福祉をめぐる最近の動向について」の講演がありました。日視連が、今取り組んでいること、政府など行政庁へ働きかけていることなど多方面にわたる課題について取り上げられました。具体的な内容は改めてこの会報でお知らせいたします。
講演に引き続いて式典が催されました。式典では、「東北視覚障害者60年の歩み」の編集に当たった青森県視覚障害者福祉会と長年サウンドテーブルテニス競技大会の審判を務めて来られた宮城県障害者卓球協会STT審判部へ感謝状が贈呈されました。
続いて、宮城県知事代理をはじめ来賓の祝辞があり、大会宣言と決議を採択して終了しました。今大会の開催に当たりご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。なお、来年は11月9日(日)・10日(月)福島県で開催されます。
採択された大会決議は以下のとおり。
一.マイナ保険証を視覚に障害がある人でも利用できる環境が確立するまでは現行の保険証を存続するよう要望する
一.デジタル化・無人化が進む中で、視覚に障害のある人がこれまで通り鉄道駅・スーパー・飲食店などを利用できるように合理的配慮が確実に提供されるよう要望する
一.ICTの機器・アプリの開発にあたっては、視覚に障害がある人の利用も踏まえて開発することを要望する
一.補装具の支給、日常生活用具の給付における国の基準を製品の開発状況や物価などを的確に反映したものに見直すよう要望する
一.公的機関からの通知文書には点字や拡大文字、音声コードなど視覚に障害のある人が識別できるような対応を要望する
一.同行援護や移動支援など人の移動サービスに係る自動車利用への規制を緩和するよう要望する
一.高齢者が安心して暮らせるよう養護盲老人ホームの入所基準、特に経済的理由の規制を緩和するよう要望する
一.災害時における個人情報の提供を定めた国の指針を社会へ周知し、要配慮者の速やかな避難体制を整備するよう要望する
一.ロービジョンの人への合理的配慮として、選挙の投票用紙の枠内に記名しやすくする記名用補助具(サインガイド)を投票所に備えるよう要望する
一.障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられることを踏まえて、官民で雇用対策を一層強化するよう要望する
一.道路交通法に違反する自転車や電動キックボードなどの指導・取り締まりを強化し、歩行者の安全を確保するよう要望する